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先週、楽天さんのイベント「楽天EXPO2019」の会場でたまたまこの話になったのですが、自分でしゃべっていて泣きそうになったので、改めてブログに書いておきたいと思います。
(登場人物の了承は得てます。)
2017年4月。楽天Rネーションズというプログラムの第二期がスタートしました。
楽天Rネーションズというのは、先輩店舗(リーダー店舗)が後輩店舗(チャレンジ店舗)のレクチャーをするというものです。
当時のルールは、リーダー店舗が5店舗のチャレンジ店舗を担当し、1年間コンサルをする。
まず、チャレンジ店舗は6か月以内に前年の平均月商の2倍をクリアしなければ、そこでプロジェクトから抜けなければいけない。
という、かなりハードルの高いプログラムでした。
その私が担当した5店舗の中に、愛媛県今治市のタオルの刺繍工場があったんですね。
担当はジュリアといいます。(とりあえずイングリッシュネームをつけます。)
その刺繍工場はジュリアのお父さんが立ちあげた会社。
タオルの産地で名入れや刺繍を施すという役割を果たしてきた老舗企業です。
実際、私が今治の工場まで見学に行ったときも、誰もが知っている子供服の有名ブランドの刺繍をしていました。
ジュリアには小学生のお子さんがいて、旦那さんが社長を継いでいました。(私と同じ境遇ですね。)
社員数が10名程度の工場でWEBの知識のある人は社内にはいませんでした。
そんなジュリアのチャレンジが始まったわけです。
前年の平均月商が300万円程度だったので半年で月商600万にしないといけません。
それからジュリアと他の4チームは毎日前日の売上やアクセスを報告しあって、お互いで情報交換したり撮影が得意なチームがジュリアのタオルの写真を撮ってあげたりしていました。
リソースに恵まれていたり、勘のいいチームは開始早々から月商2倍をクリアしていきました。
そして迎えた中間リミットの9月。
ジュリアのお店は目標月商600万にはほど遠く、このままではここで脱落です。
日ごろからチームのみんなには「ほんとうにもうこれ以上できないって。ってところまでやってる?」とよく言ってました。
短期的に限界までやり切るという経験をしてほしかった。(ずっとはつらい)
私もそういう時期があったし、それにより「修羅場が人を成長させる」ことを身をもって知ったからです。
そんな中、9月の中旬だったかな、ジュリアは本屋へ行って「日本の旅館・ホテル」みたいな本を買ってきて、上から順に電話しだしたんですね。
「今治のタオル屋です。ホテル名やロゴを刺繍できます。いかがですか?」って。
それを何日も続けました。
普通、ネット通販ならSEOとかリスティング広告とかアフィリエイトとかを考えるじゃないですか。
どう考えても非効率。
でも、彼女は「私はこれくらいのことしかできないから」と言ってた。
そして、9月28日、〆切3日前。彼女からメッセージがきました。
「280万の注文がはいりましたーーー!!!!」
このメッセージを見た時、手が震えました。
すぐに電話して二人とも泣いた。
注文をくれたのはホテルではありませんでした。
たまたま、会社の記念行事のお土産に名入れタオルを配りたいというものでした。
「努力は必ず報われる」
必ずしもそうじゃないことはわかっている。
でも、努力しているからこそ掴めるものは間違いなくある。
久しぶりにジュリアのお店を見てみたら、デザインも随分良くなっていた。
昨年末、突然天国に行ってしまった旦那さんに代わって、いきなり社長になったジュリアのチャレンジをこれからもRネーションズのみんなで応援してきたいと思う。
偉そうなことを言ってますが、自分自身に言いたいと思う。
「ほんとうにもうこれ以上できないって。ってところまでやってる?」